不動産を相続すると、固定資産税も支払うことになります。
固定資産税は決して安い額ではないので、想定していなかった場合、思わぬ出費に頭を抱える方も多いのではないでしょうか。
しかし固定資産税の知識を持っていれば、その悩みを軽減できるかもしれません。
この記事では、相続した不動産の固定資産税は誰が支払うのか、また払わないとどういった事態になってしまうのかを解説していきます。
相続による不動産の固定資産税は誰が支払うのか
固定資産税とは、土地や住宅にかかる税金のことです。
毎年1月1日時点で市区町村の固定資産課税台帳に所有者として記載されている人が納税者となり、その人に通知が届きます。
不動産の所有者が亡くなった場合、その翌年度から相続人に支払い義務が生じます。
しかし、被相続人が固定資産税を分納していたがため、死亡により本年度分が未払いになっていることもあります。
その際、相続人が1人ならばその人に支払い義務があります。
一方、複数の相続人がいる場合は新しい所有者が決まるまでは相続人全員の連帯債務となります。
実際は相続人の代表者が手続きに関してまとめて処理するケースが多いです。
また、代表者が固定資産税を立て替える、もしくは相続財産から支払うことも珍しくありません。
最終的には遺産分割協議し、不動産を相続した人が法務局で名義変更した時点で正式な納税義務者が定まります。
なお、対象の不動産が共有の財産となった場合は、相続分に限定されず、相続人は固定資産税の全額について連帯債務を負うこととなります。
相続による不動産の固定資産税を支払わない場合
固定資産税の納付書は、一般的に4月から6月前後に自治体から送られてきます。
基本的には年4回に分けて納付しますが、一括納付も可能です。
仮に期限を過ぎても支払わなかった場合、まずは延滞金が発生し、その後に督促状が届きます。
それさえも無視していると最終的には土地や建物を差し押さえられるので、くれぐれもご注意ください。
固定資産税を支払えない、または支払いたくない場合は「遺産放棄」を検討するとよいでしょう。
相続が開始されたら3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申し立てをすることにより、相続に関する税金の支払い義務はなくなります。
上記の手続きしておかないと、相続人が固定資産税を納めなかった場合、自分の財産も差し押さえの対象になってしまいかねません。
また、遺産放棄はいわゆる負の財産だけに限定することはできず、プラスの財産も手放すこととなります。
ともかくも、固定資産税が何かしらの理由で支払えない場合でもけっして放置はせず、まずは役所の担当者に相談しましょう。
事情によっては、分納や一時的な猶予など対応してもらえるかもしれません。
なお、相続人となり故人の固定資産税を支払った場合、相続税において債務控除できるので、ぜひ活用しましょう。