戸建て住宅やマンションなどを購入する際、住宅ローンの契約時には、物件が火災によって消失するのを担保するため、火災保険に加入します。
賃貸マンションなどの家財にかける火災保険のような短期間ではなく、長期間にわたって補償が続きます。
しかし、買い替えなどでその不動産を売却する際はどうしたらいいのでしょうか。
不動産売却と火災保険の取り扱いについて解説します。
不動産売却の際に火災保険を解約するタイミングと解約前にやっておくこと
不動産を売却する際、火災保険を解約するのは"登記変更後"がベストタイミングです。
「もう住まないから」といって早めに解約すると、引き渡しまでの間に火災にあった場合、保険が下りず、売主の責任で修繕しなければなりません。
実際そのようなケースでは、買主は売買契約を解除する確率が高く、売主には火災にあった建物だけが残ることになります。
このような状況を防ぐため、火災保険は名義変更登記を完了するまで残しておきましょう。
解約する前にやっておくこと
解約手続きをする前にチェックしておくべきことがあります。
修繕箇所がないか確認する
火災保険の補償対象は火災だけではなく、自然災害も対象になります。
台風などの影響で屋根が破損していたなどの欠陥がないか確認し、対象の瑕疵が見つかった場合は火災保険で修繕しておきましょう。
不動産売却後に住宅に欠陥が見つかった場合、売主に修繕費用を請求されるケースが多いため、引き渡しまでに確認しておくことが大切です。
質権設定の確認をする
住宅ローンで家を購入する場合、金融機関は"融資の担保として火災保険の保険金を請求する権利"を設定します。
これを「質権設定」といい、火災保険の証書は金融機関が保管することになります。
「解約予定の火災保険に質権が設定されているかどうか」をまず確認しましょう。
質権を抹消する
火災保険に質権設定されていた場合、抹消手続きの申請が必要です。
そのためには住宅ローンの完済が必要になります。
住宅ローンを完済し、所定の「質権消滅承認請求書」で申請しましょう。
不動産売却の際に長期の火災保険を解約したら保険料が返還されるケースも?
通常、長期の火災保険を途中解約した場合は未経過分の保険料が返還されます。
住宅ローンに付随した火災保険は長期間のものが多いので、未経過期間が多く残っているのであれば保険会社に確認してみましょう。
ただし、残存期間が短い場合は保険料が返ってこないこともあります。
住宅ローンを完済すれば火災保険も自動的に解約になるわけではないので、必ず保険会社に手続きが必要なことも覚えておきましょう。