生前贈与とは、相続前に財産を譲渡する方法です。
財産を残したい人へ確実に渡せるため、相続人以外(存命中の子の孫など)にも贈与できます。
そこで不動産を生前贈与するメリットとは何か、発生する税金とともに確認していきましょう。
不動産で生前贈与するメリットとは?
土地や建物などの不動産も、生前贈与が可能な財産です。
不動産を贈与するメリットとは、おもに以下のものがあります。
贈与の相手を選べる
遺言書などがない状態で相続が発生すると、遺産分割協議により法定相続人で分割することになります。
しかし不動産は現金と異なり、分割が難しい財産のひとつです。
そこで生前贈与を活用すれば、事前に決めた相手へ確実に財産を残せます。
たとえば家業を継いだ子に、自宅を残したいときなどが該当します。
相続税の節税につながる
将来的に評価額の上昇が見込まれる不動産なら、評価額が低いうちに贈与すれば相続税の節税につながります。
また不動産から得られる収益は、贈与後は受贈者のものです。
たとえば地代収入を得られる土地なら、地代収入による預貯金の相続税も節税できます。
不動産の生前贈与にかかる税金とは?
不動産の生前贈与では、贈与額(評価額)が大きくなりがちです。
そのため、非課税枠の110万円を超えた部分に贈与税がかかります。
贈与税の税率(控除額)とは、以下のとおりです。
●200万円以下:10%(控除額なし)
●300万円以下:15%(10万円)
●400万円以下:20%(25万円)
●600万円以下:30%(65万円)
●1,000万円以下:40%(125万円)
●1,500万円以下:45%(175万円)
●3,000万円以下:50%(250万円)
●3,000万円以下:55%(400万円)
このほか贈与による不動産取得では、以下の税金がかかります。
●不動産取得税
●登録免許税
相続時精算課税制度
相続時精算課税制度とは、60歳以上の親・祖父母が20歳以上の子・孫に対して贈与するときに利用できる制度です。
一般的に贈与税のほうが、相続税よりも高い税率が課せられます。
しかし、相続時精算課税制度を利用すれば、2,500万円までは贈与税がかかりません。
そのため土地や建物のような、評価額が大きな財産の贈与に適した制度です。
ただし相続時には贈与分が評価額に加算されるため、相続税対策にはならない点に注意してください。