遺産分割協議書というと、遺産でもめて話し合いをしたものだと思われている方もいるようです。
もちろん遺産の分割でもめて協議をすることはありますが、分割後にもめ事をおこさないための協議書でもあります。
不動産相続の遺産分割協議書がどうして必要なのか、どのような内容が明記されるのかを解説します。
不動産相続において遺産分割協議書は絶対に必要なものではない?
遺産分割協議書は、不動産を相続するときに絶対に必要なものではありません。
遺産分割協議書が作られるのは、不動産などを分割して相続した後にやっぱり納得がいかないと口論になるのを防ぐためです。
しっかり協議して、全員の承諾を取ったという証明書の代わりになります。
ただし、法定相続分とは異なる割合で不動産を相続する場合には、遺産分割協議書は必要です。
法定相続分とは法律で定められた相続の権利です。
例えば、配偶者と子が相続人の場合、法定相続分の割合は2分の1ずつとなります。
法定相続分の割合ではなく、配偶者がゼロで子が全てを相続するという場合には、遺産分割協議書の作成が必要になるのです。
法定相続分とは異なる割合で相続する場合、遺産分割協議書を作成してから財産を相続します。
遺産分割協議書の作成が遅れれば遅れるほど、相続後に発生した費用の支払いが滞ることもあるため注意が必要です。
不動産相続における遺産分割協議書に記載すべき内容は5つ!
遺産分割協議書に記載するのは、被相続人の情報・不動産を相続する人の情報・新たな財産の情報・協議した決定事項・同意の証明の5つです。
被相続人の情報には本籍と現住所、亡くなった日などを記載します。
不動産を相続する人の情報に記載するのは、相続する不動産の情報と相続人の情報です。
相続する不動産情報は、地積まで細かく記載する必要があります。
新たな財産が見つかった場合は、相続人を決定するか再度協議するのかを記載。
協議した決定事項には、「以上の内容で、相続人全員による遺産分割協議が成立しました。本協議書を〇通作成し、署名押印の上、各自1通ずつ所持します。」
という一文を加えます。
ポイントは2つです。
1つは相続人全員が納得した内容が記載されていること。
もう1つは、遺産分割協議書を全員持っていることが記載されていることです。
最後に、協議が成立した日と遺産分割協議に参加した人の住所・氏名・押印を記載します。
捨印をもらっておくと書き損じを直せて便利です。
遺産分割協議でせっかく協議したのに、相続する不動産がまだ残っていた、ということがないように、固定資産評価証明書・名寄帳・登記事項証明書を取り寄せておくといいでしょう。